印刷用紙沼っていう新境地 ~国内メーカー編~
つい先日、「プリンター沼」に関するお話をする機会がありまして。
プリンターって、作品制作用のもの≒ハイエンド感があるので、よっぽど拘る人以外は基本一台で済んでしまうと思うんすよ。
「じゃあデジタル印刷関連に沼は無いね!安心!」とは残念ながらならないんですね。怖いですね。
ではプリンター以外に何処が湿地帯かって言うと、そう、タイトルの通り「印刷用紙」が沼of沼なんです。
その沼の片鱗だけでもお話しできたらなと思います。
注:当記事は著者の独断と偏った知識に基づいています。紙に対する評価も、すべて私個人の感想です。ご容赦ください。
印刷用紙の分類とかに関する世界一適当な説明
そもそも印刷用紙にそこまで種類あるん?て思われる方いらっしゃると思いますし、実際「普通」に生きてて見る写真用紙って、あの何かつるつるテカテカしてるやつくらいだと思うんですよ。(小学校の遠足写真とかが印刷されてるアレ)
まぁ普通はそれで事足りますし、写真ごとに刷る用紙を変えるなんて一般の方から見たらかなり狂気じみた行動でしょう。基本的にカメラ趣味自体狂気の集合体感は否めんので、特筆することじゃあないかもしれませんが。
ここでは説明のために大きくざっくりと「印画紙の種類」について説明しておきます。
光沢紙
お店で何も言わずに印刷をお願いしたら、大抵これで出てくるでしょう。
つるつるテカテカしたアレです。
特徴としては
・黒の締まりが良い
・発色が派手
・(用紙単体で見たとき)高級感がある
・傷、汚れが目立つ
・ギラギラしすぎて展示時の光源によっては反射が凄い
てな感じです。
マット紙
少し紙こだわろっかなーと思うとぶち当たるのがこいつです。
なんせ種類がめちゃくちゃあるので一概には言えませんが、アバウトなイメージとして「表面が画用紙みたいなやつ」って思っていただければ無問題です。
とりあえず特徴上げておくと
・種類が豊富でいろいろな表現ができる
・コントラストや発色、線の描写が穏やかで優しい雰囲気に。
・黒の締まりはあまり良くない
・解像感はさほど
・派手な色は出にくい
同じことを言い方変えただけになっちゃいますが、こんな感じです。
上記の特徴も全てのマット紙に共通するわけではありません。
個性が強い面子が多い種類でもあります。
半光沢
光沢とマットのハーフ的なイメージで。
表面はざらざらしながらもやや光沢が存在します。
マットと光沢の良い所どりが出来ている紙もあり、中々おすすめのクラスです。
特徴として
・中々な発色
・中々な黒の締まり
・変にギラつかない
・解像も良好
良いとこ取りの紙もあれば全てにおいて中途半端な紙もあるので、見極めは大事です。
汎用性が高い紙が多い印象でもあります。
さて、私の知識も限界を迎えつつあるのでここらで紙の種類の説明は終わります。
厳密に言えば異なるところもありそうですがご容赦を。
印刷用紙主要メーカーやおすすめ商品についてだべりましょう。
主要メーカー&おすすめ印画紙
ここまで真面目に読んでいただいた方には本当に申し訳ないのですが、ここからは私個人の趣味嗜好暴露タイムとなりますので、、、許してください。
では行きます。
キヤノン
言わずと知れたカメラ界の雄、その存在感は印刷用紙においても失われることはありません。
特に尖った紙を出している、というわけでは無いのですが、必要な種類はしっかりと発売している堅実なメーカーです。
そのどれもが安価ながら非常に高いクオリティーを誇っています。
「取り敢えず色んな紙を試してみたい!」という方にもお勧めできますね。
そんなキヤノンからのおすすめ用紙はこちらです。
微粒面光沢ラスター
半光沢、と言って良いのでしょうか。
その名の通り表面には粒々があり、光沢はありながらもざらざらしています。
黒の締まり、発色、解像感、。全てにおいて高い水準を誇っており、「取り敢えずこれで刷ればおK」みたいな汎用性の高い紙です。
お値段も手頃で、普段使いにぴったり。
自分は迷ったら取り敢えずこれに刷ります。
光沢プロ プラチナグレード
ぶっちゃけ、特筆するほどの特徴を持っているわけではありません。
しかしながら、「光沢紙の良さ」を十二分に味わうことのできるスペックや傷の付きにくさ、素直な色だし等々、癖が少なく使いやすいのです。
実はキヤノンにはこれのもう一つ上のグレードがあります(クリスタルグレード)。
そちらも優れた商品ではありますが、傷がつきやすかったりなんやかんやで取り回しが悪いように感じてしまいました。
気軽に使えるプラチナグレードは、常用の光沢としてお勧めしたい一品です。
ピクトリコ
ここヤバいんすよ、ラインナップが変態すぎる。
作品制作向けの「ピクトリコPRO」が11種類、フィルム時代から続く「月光」の名を継承したモノクロ用印刷用紙シリーズ「月光(GEKKO)」が4種類の計15種類。
使い分けられるなら使い分けてみろと言わんばかりのラインナップは唯一無二、一目惚れできる紙にきっと出会えるでしょう。
ただ、正直15種もあれば使わない、使いにくいと感じる紙があるのもやむを得ません。
実際、写真部がピクトリコ印刷用紙全種類を購入した時(狂気)、全部員がほとんど使わない紙もちらほらありました。
むやみに買いあさる、というよりは自分に合いそうなものをちょっとずつ試すのが良いかと思われます。
色んな紙を試せる「コレクションパック」っていうのもあるので、宜しければ。
そんなピクトリコのおすすめ用紙はこちらです。
ちなみにですがピクトリコは小さい紙(2L等)のラインナップも豊富なので、気軽に高品質な紙で遊べるのも良いっすね。
ホワイトフィルム
光沢も光沢、光沢紙界の王です。
その透明感、発色は何物にも変えがたく、部員からも「舐めてぇ…」の声が続出。
お値段は一枚200円とバカ高ですが、この描写が欲しい人にこれ以外の選択は酷でしょう。
その異次元の描写ゆえか、傷の付きやすさも異次元。「保護するためアルバムに入れる際傷がついた」ほど
ダイヤモンドの剣みたいに厨二心をくすぐる一枚です。
ブルーラベル
こいつ紹介するために記事書きました。
もうね、全人類に使ってほしい。
何が良いかって、兎に角黒の締まりですよ。
「月光」の名前は伊達じゃぁない。表面の様子は「微粒面光沢ラスター」とかなり似てます。
でも、描写はかなり違うんすよね。
この前の写真展ではほぼ100%これ使いました。
2月に開催させていただく写真展もこれ使ってます。
細かいところまでの描写、黒の締まりと階調の広さ、モノクロのために考えられているんだと思えるこの紙を是非一度ご賞味ください。
EPSON
プリンターにおいてはキヤノンと双璧をなすエプソンですが、印刷用紙においては少々譲っている感は否めません。
一応ある程度のラインナップはあるものの、「作品に向けて追い込む」というより「記録として印刷する」ことを想定しているのでしょうか。
実際、EPSONのプリンターを使っていた時も、キャノンの紙は良く使用していましたがEPSONの紙は正直…。
「クリスピア」という高級光沢紙もあるっちゃあるのですが傷がつきやすく、発色もそこまでだったんですよね…。
これは好みの問題なので実際にご自身で使って判断していただくのが一番なのですが、無理してでも手を出す必要のあるメーカーかと聞かれると…。
ただ、一種類だけ手放しで褒められる用紙がありますので、そちらを紹介させていただきます。
Velvet Fine Art Paper
これは良いですよ。
こちらはファインアート紙と呼ばれるものです。マット紙に近い手触りながら、かなり濃い発色をします。
夕焼けのグラデーションを濃すぎず、薄すぎず描きたい時などに非常に重宝しています。
ファインアート紙となると扱いにくく、なかなか手が出しにくい部類ではあります。
この一枚はそんなファインアート紙の導入としては勿論、ともに長い間相棒として寄り添うこともできる素晴らしいクオリティーの一品と思っています。
富士フイルム
ごめんなさい。あんま使ったことないです。
最近使った限りでは癖のない写りだったと記憶していますが、明言は避けておきます。
国内メーカーとなるとこれくらいですかね、後はELECOMとか色んな所がごちゃごちゃしてますが、今回の趣旨とは少々異なりそうなので割愛させて頂きます。
ノリと雰囲気だけで書き上げたので、何処かミスってたら教えていただけると幸いです。
では、次は海外編で!